Japanese
English
原著
Verruciform Xanthomaの陰嚢発生例
Verruciform Xanthoma of the Scrotum
木村 俊次
1
,
鈴木 明宏
1
Shunji KIMURA
1
,
Akihiro SUZUKI
1
1慶応義塾大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine
pp.235-242
発行日 1983年3月1日
Published Date 1983/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202804
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76歳,62歳,60歳の男子陰嚢に生じた,verruciform xanthomaの3例を報告した.いずれもポリープ状の有茎性乳頭腫をなし,特有の赤橙色ないし帯黄赤色を呈する.組織学的には脂肪染色陽性の泡沫細胞が真皮乳頭および乳頭下層に浸潤し,表皮突起の肥大・延長,真皮上層血管の増生・拡張・うっ血をみる.症例1では電顕的観察および足底疣贅ウイルスに対する抗血清を用いた螢光抗体法的検索も施行したが,増殖表皮内にウイルス粒子は見出しえなかった.また症例1では泡沫細胞浸潤を有する淡紅色丘疹が乳頭腫近傍に多発していたが,これらは半年後自然消褪した.本症の口腔内および皮膚発生例について集計・検討したところ,陰嚢発生例はきわめて特徴的な臨床像を有し,臨床診断も可能と考えられた.本症の病因は不明であり,発生病理に関しては従来の表皮増殖先行説と泡沫細胞浸潤先行説に加えて,両者が同時に進行する可能性も考えられた.
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