Japanese
English
原著
特異な臨床像を呈した乳児のMastocytosisの1例
A Case of Mastocytosis of Infant with Atypical Clinical Features
渡辺 晋一
1
,
堀 嘉昭
1
,
小堀 辰治
Shinichi WATANABE
1
,
Yoshiaki HORI
1
,
Tatsuji KOBORI
1東京大学医学部附属病院分院皮膚科
1Department of Dermatology, Branch Hospital, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.1155-1160
発行日 1980年12月1日
Published Date 1980/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202345
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
5ヵ月,男児.出生時に体幹,四肢に褐色色素斑を数個認め,生後1週間ほどして入浴後,全身の潮紅発作をおこした.その後,同様の潮紅発作を時々おこすも,意識障害,痙攣,下痢,呼吸困難等はなかった.また,いくつかの色素斑部に水疱を繰り返し生じた.初診時,体幹,四肢,頭部に1.0×0.5cmから7.0×3.0cmの種々の大きさの褐色色素斑が合計14個認められ,それらのうちの多くは結節状に隆起し,硬くふれた.組織学的には,マスト細胞が表皮直下から脂肪織の隔壁まで腫瘍性に増殖し,膠原線維束を圧排し,いわばmastocytomaの多発型と称すべき症例であった.昭和45年から昭和54年の過去10年間,本邦におけるmastocytosisの症例は,文献上調べ得た限り143例あったが,臨床像の明記してあるものには,本症に相当するような病像を呈したものはなかった.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.