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連載 皮膚科学に貢献した医学者たち・2
新生児スクレレーマ(その2)
Sclerema neonatorum
高橋 吉定
pp.169-172
発行日 1973年2月1日
Published Date 1973/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201109
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4.類症の記載者
アンダーウッド(Underwood)から約70年たつてから,その記載した皮膚病とはなはだ類似した疾患を著書に詳しく書いた学者がいる.それはパロー(Parrot)である.この人の名はわれわれになじみで,先天梅毒の症候としてパロー仮性麻痺やパロー凹溝を学生時代にすでに習つた記憶がある.
この互いに類似する疾患をアンダーウッドはskin-bound (皮膚が硬変するという意味)と称し,パローはathrepsie (重症の慢性栄養障害の意)と呼んだ.前者は皮膚科的な,そして後者は小児科的な名称であるが,皮膚病変の立場からみて,両者を同様とする老えと,異なるとする説がある.相違説の学者は,アンダーウッドの疾患は新生児スクレレーマであり,パローの疾患は新生児浮腫であるという.何しろそれぞれが18世紀と19世紀における著述なので,類症鑑別はいまだ顧慮されておらず,したがつてそれらの記載は必ずしも十分とはいえない.しかし,本稿においては,これらの類症を併記しつつ,現在の学者の見解をも述べるので,読者はそれを参考にしてみずから考えられたい.
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