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はじめに
高脂血症(コレステロール血症,トリグリセライド血症)はコレステロール,トリグリセライドなど脂質そのものよりその転送にあずかるリポ蛋白から整理した方が,成因,病像など理解し易い。したがつてこんにちでは,一般にhyperlipopro-teinemiaと呼ばれている。糖尿や甲状腺機能低下症,ネフローゼなどの異常代謝により生ずるものを続発性といい,家族的にみられ遺伝を証明するものを,家族性あるいは原発性という。hyper-lipoproteinemiaは動脈硬化,心筋梗塞,黄色腫と関係し,その興味は皮膚科領域のみにとどまらない1)。
リポ蛋白脂質は血液中でリポ蛋白と結合,可溶化あるいは安定化されて各組織に転送される。リポ蛋白にはα,β,Pre-βリポ蛋白,カイロミクロンの4種がある。α-リポ蛋白は1.063〜1.21のdensityをもち,45〜55%の蛋白,30%の燐脂質,18%のコレステロール(大部分はエステル型)よりなり分子量は165,000〜400,000,蛋白はA蛋白と呼ばれ,アミノ酸構成および免疫的にもβ-リポ蛋白のB蛋白と異つている2)3)。β-リポ蛋白は超遠心で1.006〜1.063 densityにあるもので,20〜25%のB蛋白,43%のコレステロール(大部分エステル型),22%燐脂質,10%のトリグリセライドをふくみ,コレステロール量が多い。分子量326,000蛋白はアミノ基末端にグルタミン酸,カルボキシル末端にセリンをもつている4)5)。Pre-βリポ蛋白は6)0.93〜1.006のdensityにあるもので85%が脂質(大部分がトリグリセライドでコレステロールおよび燐脂質は少ない)で蛋白は2〜5%といわれAおよびB蛋白よりなるが最近C蛋白のあることが明らかにされた7)。カイロミクロンは脂質(大部分がトリグリセライド)および0.5〜2.5%の蛋白よりなる平均1μのparticleである8)。
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