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自己炎症症候群は,病原体や自己抗体,自己反応性T細胞とは関連を認めない持続性・反復性の炎症疾患の概念である.インターロイキン-1βは,炎症性サイトカインの中でも重要な役割を担っている.今回,著者らはインターロイキン-1受容体拮抗物質をコードするIL1RNの変異に起因し,主に骨,皮膚病変をきたす疾患を報告した.出生時から無菌性多発性骨髄炎,骨膜炎,膿痂疹様発疹,口腔粘膜病変などを呈したプエルトリコ,カナダ・ニューファンドランド州,オランダ,レバノンの6家系からの9名の小児を対象とし,その内1例に組み換え型インターロイキン-1受容体拮抗物質であるアナキンラを投与し著効したことから,インターロイキン-1経路の遺伝子の変異の有無,蛋白の変化やその機能について検討した.その結果,9例の患児において,IL1RNのホモ接合性変異を同定した.プエルトリコの患児1例は,IL1RNのほかインターロイキン-1ファミリーメンバー5つを含むホモ接合性ゲノム欠失を有していた.ヘテロ接合性変異の保因者は無症候性であり,in vitroでサイトカインの異常はみられなかった.IL1RNの変異により,不完全な蛋白質が産生され,細胞のインターロイキン-1βに対する反応亢進がみられた.アナキンラの投与により,速やかな臨床症状,炎症反応の改善が得られた.結論として,インターロイキン-1受容体拮抗物質の非存在下では,インターロイキン-1は過剰に作用し,皮膚や骨を侵す致死的な全身性炎症をきたすことが示された.著者らはIL1RNの変異に起因するこの常染色体劣性遺伝の自己炎症性疾患に対して,インターロイキン-1受容体拮抗物質欠損症(deficiency of the interleukin-1-receptor antagonist:DIRA)という用語を提案している.
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