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特集 第35回日本臨床眼科学会講演集 (その1)
学術展示
巨大な涙腺癌
The giant lacrimal gland cancer
宮崎 仁志
1
,
舩橋 知也
1
,
小林 直樹
1
,
鎌田 芳夫
1
,
今井 由美子
1
Hitoshi Miyazaki
1
,
Tomoya Funahashi
1
,
Naoki Kobayashi
1
,
Yoshio Kamada
1
,
Yurniko Imai
1
1東京慈恵会医科大学眼科学教室
1Department of Ophthalmology, The Jikei University School of Medicine
pp.368-369
発行日 1982年4月15日
Published Date 1982/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410208557
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- Abstract 文献概要
緒言2年間にわたり手術を勧めたが承諾せず,放置していたところ,腫瘍は異常に増大し,眼球は外下方へ圧迫されて完全に腫瘍におおわれ,さらに上眼窩裂から脳内へも浸潤し,肺門部リンパ節へも転移を認め,内科では肺癌の眼窩内転移を疑われた小児手拳大の巨大な涙腺癌の1例を経験したので報告する。
症例79歳男性,当科初診1〜5年前.左限球結膜充血,腫脹が出現し,近医で加療していたが,1979年9月より,左眼球突出および複視に気付き,当大学分院を受診し,臨床所見より涙腺腫瘍の診断を受け,手術を勧められたが,そのまま放置していた。1年半後の1981年2月,腫瘍が急激に増大してきたため,2月26日.当科外来を受診し,3月9日,当科へ緊急入院となった.入院時,右限は,視力0.4(矯正不能),眼圧12mm水銀柱であり,前眼部,中間透光体,眼底には,老人性白内障および,KWⅡa相当の眼底変化を認める以外には著変はなかったが,左眼球は外下方へ圧迫され,完全に腫瘍におおわれ,視力,眼圧,前眼部,中間透光体,眼底等は完全に検査不能であり,腫瘍は小児玉拳大,65mm×60mmで約45mm突出し,弾性硬,表面平滑であり,その一部からは出血が孜られた(図1)。さらに,入院時全身検査では,特に異常所見はなく,胸部単純撮影にて,左第2弓に一致して軽度の突出がみられたが,肺門部の血管陰影として説明された。
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