銀海余滴
なりわい
初田 博司
pp.160
発行日 1971年2月15日
Published Date 1971/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410204447
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生業と書いてなりわいと読む。古語辞典によれば,五穀が成熟するように勤めるわざ,と出ており,更に転じて生活維持のための一定の仕事とある。しかし一般に,なりわいを楽しむとか,なりわいにつとめはげむとかの表現をするとき,この言葉から一種の快いニュアンスが感じとられるような気がする。
人が生を受けて一人前の年齢になり,何か仕事をもつて社会に奉仕する。この個々それぞれにふさわしい仕事は,一個の人間としての,生まれついた時から定められたものだという考え方が根底にあつて,そこになりわいということばが出て来たのだと思う。
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