わたしの意見
わたしの意見
油井 直行
pp.744-745
発行日 1970年5月15日
Published Date 1970/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410204309
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照明について
私は青森県の学校保健の指導に当たつて,早くから「学校保健活動の実際」−1960(実際は2年前に原稿完成)青森県教育委員会,青森県学校保健会出版p.254〜—において螢光燈スタンドより白熱電球の方が視力にも学習効果にもよいことを力説し,その後昭和36年青森市で全国学校保健大会,全国学校医大会が開かれた時の資料にも白熱電球を使つた方が近視の発生が少ないことにふれ,それらの別刷をその後30部位日本眼科医会役員会のおり事務室においてきた。農林中金のパンフレット昭和41年11月の(みのり)のP.12〜の家を建てる—子供部屋の電燈は全部白熱電球であり,勧銀のパンフレット第44号(昭44年3月)にも勉強机に白熱電球を配し,45号では照明は2種類に,天井に螢光燈,机の上に白熱電燈をと明記している。ところが数年前電力会社で学校を歴訪して螢光燈スタンドたる「明視スタンド」を宣伝し,私としては全く困却した。私の知るかぎりにおいては,螢光燈スタンド推せんの根拠となる科学的データもないようであり,照明学会には眼科の人は名目だけ,大半が建築関係と電気メーカー,そして事務所がメーカー内にあつてその援助下にあるとなれば,このたびの大学騒動で大学当局としても産学協同を非とする態度を出さざるを得なくなつた好個の事例であろう。あるいはいう,明るければよいではないかと。しかし問題は能率と疲労である。
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