連載 OBSTETRIC NEWS
切迫早産例における母体への副腎皮質ホルモン投与—英国とアイルランドの調査
武久 徹
pp.210-211
発行日 1998年2月10日
Published Date 1998/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903181
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切迫早産の治療に多くの薬剤が使用されているが,どの薬剤を使用しても,現時点では妊娠期間の短期間の延長は期待できるものの,長期間の延長は不可能であることが多くの研究で明らかになっている.とくに,切迫流産例に非経口的に陣痛抑制剤を使用し,その後経口的に陣痛抑制剤を使用するいわゆる維持療法も無効という研究結果が多く(AJOG:175:834,1996),とくに第一選択に陣痛抑制剤の経口療法を行い,早産率を有意に下げられたという研究結果は,英語圏の論文ではほとんどみられない.まったく同じ効果を有するterbutalineが安価であることも原因の一つかも知れないが,塩酸リトドリンの経口投与の効果に疑問が持たれた(Dialog(R) File 187:FDCReports, November 2,1992)ことなどから,米国市場からは塩酸リトドリンの経口剤は姿を消し,米国医療関係者が薬剤使用に際し参考にしているPhysician�s Desk Reference(PDR)1997年版からは,塩酸リトドリン経口剤の項目は削除されてしまった.副作用が少なく,長期間,陣痛抑制できる薬剤が待たれるところである.
切迫早産の診断は困難な例が多いが,未破水例で妊娠20〜37週未満,子宮収縮と頸管の変化がともに確認された場合というのが一般的である.
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