今月の臨床 体外受精マニュアル—新しく始める人へのアドバイス
体外受精—私のコツ
6.成田病院
成田 収
1
1成田病院
pp.1179-1181
発行日 1995年8月10日
Published Date 1995/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902250
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●はじめに
不妊症治療の最終的な治療法としての体外受精・胚移植法が登場して早くも10数年が経過した.この間,多くの先人の絶えまざる努力によって胚の凍結保存法,配偶子卵管内移植法,Gn-RHaの導入,超音波診断装置による経腟採卵法,顕微授精法などの新しい技術が次々に登場して,体外受精法はより簡便,正確に実施できるようになった.この間,わが国において体外受精の実施症例数,施設数共に著しく増加し,その成績も次第に向上してきている.1992(平成4)年1年間の統計によると1),体外受精法で15,515回の採卵が行われ,2,446回の妊娠が成立し,移植あたりの妊娠率は24.4%となっている.しかし,最終的な目標である生産率は対移植周期あたり15.7%と20%に達していない.同じ時期の1992年の米国において行われた成績2)でも体外受精法で24,996回の採卵が行われ,5,279回の妊娠が成立し,移植あたりの生産率は19.2%でやはり20%を割っている.わが国あるいは米国におけるこの体外受精の成績は,将来,ゆるやかに向上はしていくであろうが,これが飛躍的に上昇するとは思われない.胚の正常自然周期における着床率,加齢の影響などを考えるとおのずから限界がある.ここでは与えられたテーマについて述べてみたい.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.