今月の臨床 臨床力をグッとUPさせる「貧血」の知識―鉄代謝の基礎から管理・治療の具体策まで
産科領域の貧血
胎盤位置異常に対する最適な貯血の方法
酒井 あゆみ
1
1埼玉医科大学医学部総合医療センター総合周産期母子医療センター母体胎児部門
キーワード:
貯血式自己血
,
前置胎盤
,
低置胎盤
,
同種血輸血
Keyword:
貯血式自己血
,
前置胎盤
,
低置胎盤
,
同種血輸血
pp.610-617
発行日 2024年7月10日
Published Date 2024/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211295
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
●貯血式自己血は,同種血輸血を回避する方法として有効であるが,近年,廃棄量が多いことが問題となっている.
●貯血量を階層化した最適な自己血貯血量の検討では,貯血量600mL(300mL×2回)が同種血輸血を回避し廃棄率を抑えるという観点からは最適な貯血量であると考えられた.
●全血保存による貯血式自己血は,貧血改善と循環血漿量の増加効果は見込まれるが,凝固因子を補充し血中濃度を上昇させるためには,その濃度が不足しており,また冷蔵保存による機能の失活の可能性があり,貯血量を多くしても凝固因子を上昇させることができず,同種血輸血率は変わらないと考えられる.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.