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図1に示したのはシリコン系ゴムチューブ内に水銀を封入したストレンゲージ(表1)で,その伸縮変化によつて児の呼吸と共に腹壁が変動する現象を検出して,水銀の電気的変化を信号として本体(図2)に送り,自動的に吸気撮影を行なうものである(表2)。その同調テストをシンクロスコープで行なつてみると,完全に同調することが確認され(図3),極めて微かな変化をも把握しうることが分つた。次に,傾斜撮影台は縦79cm,横45cmの金属板を鉄製の枠に蝶番で固定したもので,此の板面を起して支柱で固定すると丁度45°の傾斜が得られるようになつている(図4)。板上にはベビーホルダーの固定金具及びビニールで被覆したゴムスポンジを備えた頭部固定装置が取付けてある。カセッテは板の裏側からベビーホルダーの内面に密着してはめ込まれ(図5),カセッテと児の間隔は殆んどない。これにベビーホルダー(ポリエチレン製)を組合せたところ,頭部の固定装置と児の生殖腺被曝を防止するために取付けた下腹部を被う鉛ゴム布で,撮影の際の児の捻転も殆んど消失した(図6)。水平仰臥位と本撮影台を用いた45°傾斜撮影例(何れも腹背方向撮影)とを比較すると,心横径,肺横径には著明な差がないが,中央陰影横径,横隔膜の位置,肺野の面積は余程立位背腹方向撮影のそれに近似してくることが認められた(表3)。更に,本器を用いて腹背と背腹方向撮影の両者を比較すると,殆んど差が認められず,腹背方向撮影の方が操作が容易でもあり,無理に背腹方向に撮影する必要はないものと考える。また,本撮影台はカセッテの出し入れ及びその位置決めも簡単に出来るように工夫してあり,取扱い並びに撮影方法が容易であるため,写真の出来映えも更に向上した(表4)。また,撮影時の介助者も全く不必要となり,児の生殖腺が保護されることも大きな利益てある。即ち,呼吸同調器と傾斜撮影台,ベビーホルダーを組合せた45°傾斜腹背方向撮影は新生児のroutineの胸部X線撮影法として推奨し得るものと思考する(図7,8,9, 10, 11, 12)。
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