--------------------
Kranke (13)
A Y
pp.420
発行日 1964年5月10日
Published Date 1964/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203052
- 有料閲覧
- 文献概要
桜の花も咲きそろおうという4月はじめの動物園,日曜日のせいもあつてか,園内はかなりの混雑ぶり,肩車をした男の子,母親の手をちぎれんばかりに引張つている小学生,疲れ果てて父親の腕の中で夢路を辿るおかっぱさん,猪突猛進のよちよち歩き,それを追いかける若い夫婦,さすがに子供の楽園らしい賑やかさを伴なっていた。
助産婦Aさんも,孫にせがまれ.春風にさそわれて,10何年ぶりかで訪れてはみたものの,あと半年もすれば60才に手の届こうというAさんにとつては,いささか気づかれする雰囲気でもあつた。そんなAさんが弁当も食べ終り,はしやぎまわる孫を押さえ,帰り仕度を始めた時であった。ユニホームらしきものを着た,中年の婦人がつかっかとAさんめがけて寄って来るのをみつけた。
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.