連載講座 胎盤から学ぶ・3
胎盤の炎症
相馬 広明
1
Hiroaki Soma
1
1東京医科大学産婦人科
pp.869-871
発行日 1963年11月10日
Published Date 1963/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202920
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早期破永や破水後の分娩遷延,頻回の内診,または妊娠中の母体の高熱とか,著しい頚管炎や腟炎,あるいは混濁した悪臭のある羊水流出とかがあれば,一応子宮内に感染が生じているのではないかと疑う必要があるが,それを証明する手段としては当然細菌検査を先ず実施しなければならない。しかし現実の問題として本邦での分娩室の態勢では,羊水の培養や胎盤の培養などを直ちに無菌的に採取することはいつも容易には行ない得ない場合が多いのではないだろうか。たしかにこれまではこのような感染が疑われたときは,分娩後の監視はむしろ母体に向けられて,胎内で最も被害を蒙むるはずの児に対する注意は散漫であつたことは否めない。
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