Japanese
English
手術・手技・麻酔
摘出至難なりし内性器結核の腟式手術成功例
A case of internal genital tuberculosis successfully extirpated with difficulty by means of vaginal operation
町野 碩夫
1
,
黒木 達
1
Sekio Machino
1
1鹿児島大学医学部産婦人科学教室
pp.351-352
発行日 1958年5月10日
Published Date 1958/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201752
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緒 言
女性器結核の治療に就ては,夙にHegar(1886)がその著書女性器の結核に於て,その根治療法として子宮の腟上部切断と,附属器の切除とを提唱してこのかた,今日に至るまで幾多の信奉者が存在する。これに対してその保存療法を主張するKrönig (1911)の流れを汲む一派があり,それに加えてOpity,Gálその他によつて放射線の重要性も認められ,終にWagner (1920)の国際結核学会に於けるKrönig支持の発言となつて,こゝに俄然本症に対するこれら両療法の優劣比較に関する一大論争が展開されるようになり,終にHeynemannによってこれら両療法の一つのみを断じて固執すべぎものでないという一矢が放たれたのである.
最近抗生物質なかんずくストレプトマイシン,パラアミノサリチル酸,及びイソニコチソ酸ヒドラジドなどが結核剤として登場するようになつたので,余らは一方これらの非観血的療法を重視しながらも,本症中にはこれらの療法も何らその偉効を示さない場合があり,而もその病巣が単に性器のみに限局して既に膿瘍を形成していたり,または高度の癒着を伴つて自覚症状が著しい場合などには,已むなく根治手術を施すことが少くない。かような場合に余らは患者の一般状態や年令,婚否や産児の希望,並びに家庭的関係やその社会的立場などを勘案してなる丈け積極的に子宮全摘をも行つて恒に満足すべき美果を収めている。
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