今月の臨床 ここが問題─若年女性のやせ・肥満
若年女性のやせ・肥満と周産期異常
5.肥満妊婦と難産
牧野 真太郎
1
,
宮国 泰香
1
,
竹田 省
1
1順天堂大学医学部産婦人科
pp.1324-1331
発行日 2010年9月10日
Published Date 2010/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102466
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はじめに
身体的特徴や年齢などの因子は,妊娠・分娩・産褥時期の合併症や周産期予後を考えるうえで重要な因子である.体重の管理については,非妊時の体重,妊娠中の体重増加,分娩時の体重などさまざまな因子があり,体格の判定にはBMI〔body mass index=体重(kg)/身長2(m2)〕を通常用いる.日本産科婦人科栄養問題委員会では,非妊時においてBMI 18未満をやせ,18以上24未満を標準,24以上を肥満とし,妊娠中は妊娠初期BMI 24以上,妊娠中期BMI 26以上,妊娠10か月BMI 28以上を肥満としている1).妊娠の体重増加に関しては,妊娠高血圧症候群予防のために非妊時体重別にやせ10~12 kg,標準7~10 kg,肥満5~7 kgの増加が提案されている2).
Cnattingiusら3)は,非妊時のBMIが高いほど妊娠後期の死産が有意に高値で,早産も有意に高率であるとしている.また,表1 4)にまとめたように,肥満妊婦は妊娠中のみならず分娩時にもさまざまな合併症を引き起こし,ハイリスク妊娠といえる.本稿では,肥満妊婦の合併症のなかで,主に分娩時合併症を中心に,その対応について述べる.
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