今月の臨床 無痛分娩・和痛分娩ガイダンス
I.無痛分娩の概要
無痛分娩の現状
1.諸外国,本邦における無痛分娩の現状について教えて下さい.
奥富 俊之
1
1北里大学医学部麻酔科
pp.358-359
発行日 2004年4月10日
Published Date 2004/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101175
- 有料閲覧
- 文献概要
1 現在の無痛分娩に至るまで(無痛分娩の歴史)
19世紀半ば,英国においてSnowがVictoria女王の王子Leopoldにクロロホルムを用いて以来,麻酔分娩が急速に世に認められるようになった.以後,少し遅れて亜酸化窒素(いわゆる笑気)も使用されるようになった.20世紀に入るとこれらの吸入麻酔薬と並行して,脊髄くも膜下麻酔(いわゆる脊椎麻酔)や硬膜外麻酔のような区域麻酔,あるいは陰部神経ブロックや傍頸管ブッロックといった神経ブロックなどの技術が進み,やがてこれらが産科麻酔に応用された.20世紀後半になると母児に対する合併症の面から吸入麻酔薬よりも区域麻酔,特に硬膜外麻酔が主流となった.これら欧米の産科麻酔の流れは,大まかにはわが国においても同様であるが,時代的には約20~30年の遅れがある.すなわち,1970~1990年以前はトリクロールエチレン,ペントレン,亜酸化窒素のような吸入麻酔薬,あるいはペントバルビタール,ジアゼパム,酒石酸レバロルファン,塩酸ペチジンといった静脈麻酔薬が主流を占めていたが,1990年以降は硬膜外麻酔が主流となった.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.