今月の臨床 母体症候―救急疾患の鑑別と初期対応
分娩時・産褥期の救急症候
6.乏尿・無尿
深見 達弥
1
,
牧野 康男
1
,
瓦林 達比古
1
1福岡大学医学部産婦人科学教室
pp.310-313
発行日 2003年3月10日
Published Date 2003/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101059
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
尿量が400 ml/日以下の場合を乏尿,尿量が 50~100 ml/日以下の場合を無尿と定義されている1).また乏尿はその原因によって,①体液量の減少や血圧の低下,循環障害などに対する腎臓の適切な反応により尿量の減少を示す腎前性の乏尿,②急性腎不全あるいはこれと同義に急性尿細管壊死とも呼ばれる腎実質性の障害による乏尿,③尿路閉塞による腎後性乏尿の3つに分けることができる1).
産科領域において,乏尿・無尿を呈する急性腎不全の頻度は妊娠中の婦人では20,000例に1例2),産褥婦では10,000例に2例の割合であり3),通常,急性腎不全はそれまで健康であった女性に起こるものであるが2),,この急性腎不全を引き起こす各種の原因疾患については表1に示す2).
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.