今月の臨床 UAE―子宮筋腫塞栓療法
手技の実際と術中管理
1.カテーテルの選択と挿入手技
瀧 康紀
1,2
1葉山ハートセンター放射線科・UAEセンター
2アモルクリニック放射線科
pp.911-913
発行日 2003年7月10日
Published Date 2003/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100875
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はじめに
UAEの対象は子宮筋腫があるということを除けば,一般的に健康で将来妊娠する可能性のある若年婦人である.透視しながら行うという手技の性質上,手技に要する時間の延長が放射線被曝の増大につながること,対象が良性疾患であることからカテーテルの挿入はスピーディかつ安全に行われなくてはならない.また子宮動脈をはじめとする内腸骨動脈分枝の選択的カテーテル挿入を行うためには,その解剖学的知識が必要である(図)1).
覚えておくべき子宮動脈の分岐形式は以下のとおりである.①子宮動脈は前方に向けて分岐する.②特徴的なカーブを描く.③膀胱動脈,閉鎖動脈などと共通幹ないし,近接分岐することがある.④内腸骨動脈から分岐してすぐに強く屈曲することがある.⑤稀に膀胱動脈が子宮動脈と走行が似ることがある.
塞栓時に気をつけなくてはいけないこととして,①子宮動脈は攣縮を起こしやすい,②吻合には(i)子宮動脈―子宮動脈,(ii)子宮動脈―卵巣動脈,(iii)子宮動脈―内陰部動脈など内腸骨動脈分枝がある,が挙げられる.
さらに,異所性塞栓を避けるためにもカテーテルは子宮動脈に十分に挿入されなくてはならず,塞栓物質を注入する際には常にモニターを見ていなくてはならない.この点が単なる造影のみの場合や子宮頸癌に対する抗がん剤動注療法の場合と異なる.
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