症例検討会 骨・軟部腫瘍23例
症例8—右膝窩部腫瘍
石田 俊武
1
,
奥野 宏直
1
,
松田 英樹
1
1大阪市立大学整形外科
pp.489-491
発行日 1981年5月25日
Published Date 1981/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906347
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12歳,女子.約7ヵ月前に右膝窩部の圧痛に気付き,4ヵ月前より同部の腫瘤を触れるようになつて昭和54年7月来院した.右膝窩部で,約7.5×5.5cmの膨隆した比較的柔かい腫瘤をふれる.X線像の側面像で,膝関節の後部関節包に接して腎臓型の腫瘍陰影がみられ,その陰影の辺縁部に線状の石灰沈着像を認める.血管造影では膝窩動脈は外方に圧排され狭窄像を示す.67Gaシンチで取り込み増加がみられる.
手術を施行したところ,腫瘍塊は,後方に圧排された膝窩静脈・脛骨神経の深部にあり,はつきりした被膜はなく,関節包に密に癒着し,外側では膝窩動脈に癒着すると同時に筋肉内に浸潤していた.一塊として切除しようとしたが破れ,空泡化した内部より淡黄色の液が少量出てきた.可及的に切除したが,腫瘍はブタマンジュウのように中が空洞化し,外を分厚い結合組織で囲こんでいる型になつていた.組織像では,周辺を分厚い結合組織が取り囲み,その内部の腫瘍細胞群は特定のpatternをとることなく密集している.
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