特集 脊椎腫瘍(第8回脊椎外科研究会より)
巻頭言/脊椎腫瘍,診断と治療—その現状と動向
辻 陽雄
1
1富山医科薬科大学整形外科
pp.215
発行日 1980年3月25日
Published Date 1980/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906081
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原発にせよ続発にせよ,こと脊椎腫瘍の臨床における困難性は,その診断から治療にいたる全経過を通じて四肢のそれと比較できない側面をもつている.それは脊椎が体幹にあつてそれ自体複雑な形態をもつていることのみならず,脊髄神経を包含していること,および,これと密接に関連しつつ常に脊柱の支持性運動性が要求されることにもとづく.
脊椎腫瘍の外科という点についてみても,したがつて,自ずから手技上の限界は将来にわたって残されることであろうし,ましてや腫瘍患者の予後は腫瘍本来の悪性度如何とともに,基礎から臨床にいたる一貫した進歩に俟たねばならないとみるべきであろう.しかし今や,基礎腫瘍学も長足の進歩をみせ,多くの抗腫瘍薬剤の開発,新たな放射線治療,さらに近い将来には腫瘍免疫学の発展実用も夢ではなく,また,われわれ整形外科医のひたむきな外科的挑戦の歴史は脊柱構築の再獲得と腫瘍根治に格段の進展をもたらしてきた.
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