論述
いわゆるatypical spondylolysisについて
荒井 三千雄
1
Michio ARAI
1
1岩手医科大学整形外科学教室
pp.566-574
発行日 1968年7月25日
Published Date 1968/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903943
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はじめに
古来,脊椎分離症に関して多くの研究があるが,多数の臨床材料について新たな観点から検討を加えることは,今日においても決して無意味ではない.たとえばX線写真をよくみると,まず症例によつて分離部の形にかなりの違いがあることに気づく.裂隙の形はあまりにも多様であつて,分類に困惑を覚えるほどである.しかし,なかには通常のものとは明らかに異なる一群の分離症がある.これはNathanのいうatypical spondylolysisに相当したもので上位腰椎の片側にみることが多い.ただ,この異型脊椎分離症においても,個々の分離部の形状はまつたく同じではなく,後述のごとくtypical spondylolysisとの間に移行を思わせるものがある.これらを仔細に検討すれば,あるいは脊椎分離症の発症病理に関して何らかの手がかりをうる可能性も考えられ,当科で経験したいわゆるatypical spondylolysisの20例を中心にこの問題を考察してみた.
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