書評
『問題解決型救急初期診療 第2版』
志賀 隆
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター救急部
pp.190
発行日 2012年2月25日
Published Date 2012/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102264
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本書は,救急の現場の最前線で働く医師たちへぜひお薦めしたい本である.通常,救急の参考書・マニュアル本は,複数の著者が執筆することが多い.本書は,日本と米国において外科と内科の臨床の最前線で研修をされ,さらに日本有数の教育病院である聖路加国際病院,国立国際医療センター,済生会福岡総合病院にて指導医として数多くの研修医を指導してこられた田中和豊先生によって執筆されている.そのため,通常はセクショナリズムに陥りやすい内科や外科の救急も連続性をもって記載されている.一貫して現場で役立つ本であることが意識されており,忙しい医師が求める事項が簡潔に記載されている.
本書を開くと,はじめに救急診療におけるプラクティカルな基本戦略が記されている.サッカーに例えられた救急医としての診療姿勢は実にわかりやすい.さらに,Oslerの格言から始まり,救急の限られた時間の中で問診と身体所見をどのようにして有効にとるか著者の知恵が凝縮されて記述されている.これは救急診療に初めて臨む研修医にとって非常によい導入である.
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