整形外科/知ってるつもり
頚性めまい
新井 基洋
1
1横浜市立みなと赤十字病院耳鼻咽喉科
pp.954-957
発行日 2010年10月25日
Published Date 2010/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101825
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■はじめに
頚性めまいは賛否両論のあるめまい疾患領域である.一番の問題点は,典型的頚性めまいの頻度が少ないため,医師が頚性めまいを見たことがないことである.そのため,その存在を否定,または疑問視している医師が多いことである.教科書的にも,頚性めまいについての記載は少ない.ドイツの神経内科医であるトーマス・ブラント著の『めまい』6)には,頚性めまいの存在については,否定的な見解を述べている.その一方で,アメリカでは頚性めまいを重視する報告も認め,日本めまい平衡医学会では診断基準を設け肯定的な意見である8).
埼玉医大の伊藤らの報告7)によると,過去17カ月のめまい外来総受診数2,007例のうち頚性めまいは2例のみであった.横浜市立みなと赤十字病院の過去4年間のめまい入院患者総数約2,000例で,そのうち椎骨脳底動脈循環不全症(以下VBI)を除く狭義の頚性めまいの診断は3例のみであり,典型例が少ないのは事実である.
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