Japanese
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論説
生体接着剤の進歩—Ⅰ.n-Alkyl Alpha Cyanoacrylate
Current status of tissue adhesive
松元 輝夫
1,2
Teruo MATSUMOTO
1,2
1Walter Reed陸軍医学研究所実験外科
2Hahnemann医科大学外科
pp.819-825
発行日 1969年6月20日
Published Date 1969/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204873
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はじめに
n-Alkyl Alpha Cyanoacrylateには生体上で重合し,組織の接着或は止血に役立つ特性がある.Methylcyanoacrylate monomerは,Eastman 910として在来の外科の概念とは異なつた縫合糸の使用によらない臓器ないし組織の修復および止血に使用されて来た1)さらに,日本においては,ethylcyanoacrylate monomerを主成分とするAronAlphaの動物実験および臨床への応用も種々報告されている.しかしながらmethyl cyanoacrylateによる組織の炎症性反応の程度は著しく強く,したがつてその臨床応用は極めて限られている現状である.一方,Aron Alphaによる組織反応もmethyl cyanoacrylateのそれに比較して必ずしも軽度であるとはいい難い.
一方,炭素原子の数を増すことによって合成された各種cyanoacrylate monomerの動物実験の結果より,methylあるいはethyl cyanoacrylateの止血および接着力を犠牲にすること無く,組織の炎症性反応を最低限にとどめめることも可能であるということが明らかにされた2).
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