Japanese
English
症例
軸捻転を伴える虫垂粘液嚢腫の1例
A Case of Appendixmucocele with Stem Distorsion
遠藤 良一
1
,
渡辺 喜栄
1
,
広瀬 義明
1
Ryoichi ENDO
1
1郡山市太田綜合病院外科
pp.550-553
発行日 1964年4月20日
Published Date 1964/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203316
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はじめに
虫垂の粘液嚢腫は1842年RokitanskyがHydrops pro-cessus vermiformisとして本症の記載を行ない,Virchowが1863年にふたたびこれを取あげ,Rokitanskyが1866年さらに3例の本症の追加報告をなしてよりしだいに報告例はその数をまし,1916年には,Dodgeが142例の文献蒐集を行なつたほどである.本邦においては明治44年斎藤氏の報告が最初のものといわれ,その後昭和30年小坂氏の集計にては63例を算し,さらにわれわれは昭和30年以降昭和34年までの5ヵ年間の集計で77例をえている.最近の外科手術数の増加より考えると未報告例も数多く存在すると思われ,虫垂の粘液嚢腫はそれ程まれな疾患ではないと思われる.
一方虫垂の軸捻転症は1907年Finkが,Appen-dicltis traumaticaの報告を行つた内の1例がこれに相当し,1910年Ringelが本症を1つのentityとしたのが最初のようであり,本邦症例は椎谷氏1)によれば大正7年宮田氏の報告以来19例にすぎないという.その後われわれの蒐集した森部2),米光3),小川4),野村5),川崎6),花房7)の諸氏による7例を加えても26例にすぎず,さらにこれが粘液嚢腫を合併した症例は椎谷氏の報告をもつて嚆矢となし,われわれの症例はこれについで本邦第2例目と思われる.
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