FOCUS
術後回復促進のためのESSENSEプロジェクト―外科医は周術期管理のどこにエネルギーを注ぐべきか?
宮田 剛
1
Go MIYATA
1
1東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座先進外科学分野
pp.466-471
発行日 2014年4月20日
Published Date 2014/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407105019
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外科医の原点と術後管理
周術期管理の改善を考えるに際し,患者の視点ではなく,あえて外科医の視点で外科治療を考えると,多くの外科医は,手術をすることをidentityとしており,周術期管理はその付録であることに気付く.特に内視鏡下手術という一癖ある技術に取り組み技術的な向上心をくすぐられる現代では,その内視鏡下手術の完遂で達成感を得,あるいは内視鏡下から大開腹へコンバートする勇気と決断にまた自分の存在意義を見出す.「良い手術」はもちろん良い術後経過と喜ばしいアウトカムにつながる最も重要な因子である.しかし,いくら良い手術をしても,もし旧来型の術後安静と長期の絶飲食を強いるような管理を行うならば,それ自体が身体的回復に対する阻害因子にすらなりうることに気づかされる時代となってきた.
これまで「術後安静」には,創部への張力負荷回避,創痛増強回避という大義があり,「術後絶飲食」には消化管吻合部への負荷回避,腸管麻痺時の嘔気嘔吐対策という理由があった.しかし現代では,骨格筋や腸管の廃用症候群の不利益に関する論拠が増えてきており,また創痛対策,侵襲反応抑制的な麻酔を周術期管理に反映させて早期からリハビリや腸管使用が可能になってきた.
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