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今,日本の医療には,がんの専門医が必要です.日本人の2人に1人はがんに罹患し,3人に1人はがんで死亡する時代を迎え,不足するがん専門医の育成の必要性が社会や国に認識されるようになりました.がん薬物療法専門医,放射線腫瘍認定医,婦人科腫瘍学会専門医,がん治療認定医など学会が主導するがん治療に特化した専門医・認定医制度がスタートしたほか,早期医学教育における系統的な臨床腫瘍学講義がモデル・コアカリキュラムに取り入れられるなど,専門医を育成するための基盤整備が急ピッチで進められています.また,がん看護専門看護師やがん関連の認定看護師制度,がん専門薬剤師制度など,質の高いコメディカルのがん専門医療者の育成も軌道に乗り,将来,がん医療の標準化とその向上を支える人材養成はようやく目処が立ったところです.このような背景から,最近,全国で学会やNPO等が主催する教育セミナーや講演会が数多く開催されていることは,がん治療に携わりながら専門医を育成する立場から大変喜ばしいことです.
本書は現場ですぐに役に立つマニュアルとして版を重ね,早10年の月日が経ちました.この間,コンパクトながら系統的にまとめられた内容が好評で,主に腫瘍内科をめざす若い研修医やレジデントに愛読されてきました.がん専門医療者に求められる知識は,各臓器別,治療法別の知識に留まらず,がんの疫学,臨床試験,がん薬物療法の基礎知識,緩和医療など臨床腫瘍学の幅広い領域にわたります.今回の第4版は,前版までの読みやすくかつ系統的な内容・書式を継承しつつも,疫学データや標準治療などを最新の内容にアップデートしたもので,腫瘍内科医はもとより,がん専門医療者をめざすすべての医師,コメディカルの入門書として大変有用だと思います.さらに若い医療者や学生を育成する指導者のための参考書としても役に立つはずです.
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