連載 症候学メモ余滴・14
Neuroacanthocytosis(神経有棘赤血球症)
平山 惠造
1
1千葉大学
pp.184
発行日 1997年2月1日
Published Date 1997/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901072
- 有料閲覧
- 文献概要
最近,久しぶりに本症患者を診る機会があった。我が国では本症をchorea-acanthocytosisと呼ぶことが多いが,その症候を"chorea"で代表してしまうのは少し無理があるように思う。本症はもっと多彩な症候を呈するもので,それを識っていないと本症の患者を診ても有棘赤血球症に気付かれるまでは本症であることを看過してしまう。本症が日本で報告され始めた頃,このような観点から筆者はこれをneuroacantho—cytosisと呼ぶことを提言した(臨床神経20:1064,1980)。本症を初めて記述したLevineら(Arch Neu—rol 19:403,1968)やCritchleyら(同18:134,1968)の論文では慎重に"acanthocytosisとneurol—ogical disease(disorder)"と表現している。
英国のHardieらの論文(Brain 114:13,1991)は本症についての集大成といえよう。その表題はneuro—acanthocytosisとなっている。またカナダの用語解説辞典Companion to Clinical Neurology(Pryse—Phillips W:Little Brown,Boston,1995)ではchoreo—acanthocytosisという項目があるが,neuroacantho—cytosisを見よとある。
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.