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Medical Literature Abstractracts
pp.256-257
発行日 1952年7月1日
Published Date 1952/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200294
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運動増多症を伴う全身性テタニー樣強直を特徴とする一疾患について
Th. Alajouanjne et L. van Bogaert. : Revue neurol. T. 82, No1, 1950.
著者は亞急性の經過をとつた一腦疾患について,臨牀解剖的觀察を報告する。第1例は61歳♂,四肢,躯幹,頸部,顔面に及ぶ全身性の筋緊張亢進と上肢及び顔面筋の振顫とを示す。重要な症状は筋緊張亢進(hypertonie)で,自發的又は誘發刺戟によつて全身のテタニー樣の痙變發作(crise hypertonique)に進展し,その強直状態が數分間も持續する。患者は上肢を屈曲し,下肢を伸展し,Opistotonusとなる。第2例は62歳♀で,第1例と同じく極めて特徴的な筋緊張亢進とそれの發作性増強を示すが,たゞ舞踏病樣の運動増多症を伴うことと,人格の變化,被害妄想,記憶障碍などの著しい精神病状を有する點が異つている。且つ第1例は1月以内の經過で,第2例は3月の經過で死亡した。
組織病理學的には兩例とも,廣汎なグリア浸潤が大腦皮質の深部(殊に,第2例では強くIV,V,VI層に及んでいる),卵圓中心,蒼球,Luys氏體,視床内側核などにあり,それと同時に,極く小さい範圍に神經細胞の減少が認められた。ひどい髄鞘脱落はないが,第1例で,兩側の蒼球に變性を認め,その纎維系統が殊に外節で著明に減少していたことは注目に値する。又,Luys氏體の被膜も薄くなつていた。被殻は兩例とも正常。赤核は第2例においてのみ,廣汎なグリア増殖と,僅少の細胞傷害とを認めた。
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