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Egas Moniz9)(1927)やLöhr及びJacobi7)(1932)等によつて發展せしめられた腦血管寫は,淸水12)(1932)の經皮法により著しく簡易化せられ,歐洲17),更に最近では米國5)にも廣く普及し,腦疾患診斷の最も有力な武器となつた。併し之は頸動脈領域に就てであつて,椎骨動脈領域の造影法は第1表にしるす樣に澤山の方法があるが未だ是はという良法がない。下線を附したもの以外は手術的方法であるが,之は椎骨動脈が深部に位置し,神經束,静脈叢等に包まれ而も甚しく細いために高度の外科的技術を要し,それでいて成績が良くない(例えばSjöqvist13)はMoniz法では成功せず,自分の方法で8例試みて6例に成功)。
之に對する經皮法(下線)は矢張り淸水12)(1937)に始る。彼はMonizの考えをそのまゝ用いて,鎖骨下動脈を穿刺して間接的に椎骨動脈寫を行つた。併し之には大量の造影劑を要し,且つ屡々造影が不確實という間接法共通の惱みがあつた。1937年彼は林,西丸19)の報告した頸動脈閉鎖例(後に所謂「脈無し病」21))で偶然椎骨動脈を經皮的に穿刺した。併し始めから,その意圖を持つて直接經皮的注射を行つたのは高橋15)(1940)である。彼の方法は該動脈が鎖骨下動脈より起り肋横突起孔に入る迄の經過を皮膚上から假想線を考え,この線上で頸動脈の外側で穿刺するのであるが,實施上に相當な熟練を要し,而も常に確實に成功するとは限らないという批判14)20)が多い。實際に追試して見て感ぜられるこの法の缺點は目標がはつきりしないことである。頸動脈では指端或は針尖に感ずる搏動によりその走行も深さも判りここぞと思ふところを穿刺出來るのであるが,椎骨動脈ではこの法に依る時は上述の假想線が異型の多い椎骨動脈走行に必ずしも一致するとは限らず,又年齡によつても差異がある上に,深さの見當がはつきりつかない(椎骨動脈の搏動は小さいので觸知し難い)。從つて大體の見當でその邊を丁寧に繰返し穿刺し遂に目的の動脈にぶつかると云う事になり偶然性が多くなつて來る。又附近にある甲状頸動脈或いはその分枝又は胸管等に誤つて注射する可能性もある。
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