転移性脳腫瘍と似たMRI画像所見を呈した頭蓋内Intravascular Papillary Endothelial Hyperplasiaの1例

Intracerebral Intravascular Papillary Endothelial Hyperplasia Mimicking a Metastatic Brain Tumor : A Case Report

症　例

　症例は既往歴・家族歴のない32歳女性。光視症様の発作あり，近医でのMRI精査にて右後頭葉病変を発見された。入院時，明らかな神経脱落症状は認められなかった。頭部MRIで右後頭葉皮質下に直径10mmの，ガドリニウムでリング状不均一に増強され，周辺浮腫を伴う脳内腫瘤を認めた （図1）。MRI所見からは転移性脳腫瘍が強く疑われたが，原発巣は不明のため，病理組織診断を目的として腫瘍摘出術を行った。病理組織学的所見からintravascular papillary endothelial hyperplasia （IPEH） と診断された（図2）。術後MRIにて異常増強領域の全摘出が確認され，術後16カ月経過した現在では光視症様の発作は消失しMRI追跡において再発は認められていない。