Japanese
English
研究と報告
全生活史健忘の経過中にP300の特徴的変化を認めた1例
Total Amnesia: a case showed P300 change during clinical course
桐野 衛二
1
,
増村 年章
1
,
文元 秀雄
1
,
四宮 雅博
1
,
井上 令一
1
Eiji KIRINO
1
,
Toshiaki MASUMURA
1
,
Hideo FUMIMOTO
1
,
Masahiro SHINOMIYA
1
,
Reiichi INOUE
1
1順天堂大学精神医学教室
1Department of Psychiatry, Faculty of Medicine, Juntendo University
キーワード:
Total amnesia
,
P300
,
Mismatch negativity
Keyword:
Total amnesia
,
P300
,
Mismatch negativity
pp.649-653
発行日 1993年6月15日
Published Date 1993/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903466
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
【抄録】 今回我々は,全生活史健忘の経過中の事象関連電位(ERP)において,健忘中はP300が出現せず,記憶回復後は明瞭なP300が出現するという特徴的なERPの変化を示した1例を経験した。この所見について,記憶の障害とP300のgeneratorの局在,およびヒステリー機制の3つの観点から考察した。P300のgeneratorとして有力視されているものに,海馬,辺縁系があるが,健忘中P300が出現しなかったということは,ヒステリー機制が,海馬,辺縁系を含む記憶系の機能と関連性を持つ可能性を推察しえた。この所見は極めて興味ある知見であり,ERPの新しい臨床応用の可能性を示唆するものと考えられた。
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.