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編集後記
M. U.
pp.1496
発行日 2019年12月15日
Published Date 2019/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205963
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年の瀬になって,一年が早く過ぎたことにあらためて驚いています。歳をとったのを実感する時です。よく言われるのは,生きてきた時間が長くなればなるほど,1年の長さは相対的に短く感じるという説です。もうひとつ,主観的な時の流れは脳内ストップウォッチ機構が関係していて,その時間を刻むスピードが遅くなるために相対的に外界の時間が早く流れると感じるという説もあります。いずれにしても,主観的な認識について実証的なエビデンスを得るのは難しいようですが,こうしたテーマには何か惹かれるものがあります。
本号の特集では,病識・疾病認識をテーマとして取り上げました。まず,古典的な病識論から広義の疾病認識にかかわるものまで,統合失調症,双極性障害,神経発達症,認知症など疾患ごとに,気鋭の専門家が解説しました。次に,薬物療法,心理教育,認知行動療法,リハビリテーションなどによる病識・疾病認識獲得に向けた介入および介入時期に関する臨床的論考が続き,さらに自助グループにおける当事者による疾病の体験や認識,司法精神医学における触法行為に対する病識についても取り上げられています。これらを読めば,病識・疾病認識について,広い視点から概観できると思います。
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