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編集後記
M. U.
pp.1316
発行日 2018年11月15日
Published Date 2018/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205727
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本号には,時間をかけて企画してきた創刊60周年記念特集の第1部が掲載されています。編集委員会では企画段階から本誌「精神医学」の歴史を振り返り,この期間におけるわが国の精神医学・医療について討論を重ねてきました。この中から「精神科臨床から何を学び,何を継承し,精神医学を改革・改良できたか」という主題が生まれました。佐藤光源先生の巻頭言には,これらの具体的内容が簡潔明解に凝縮されており,来月号の第2部にも続く本特集の海図と言える内容となっています。
特集では,まず統合失調症と認知症の病名変更についての経緯,その影響と臨床的意義について,それぞれの専門家による詳細な解説がなされています。これらに関しては,それぞれの病名の日本語訳が作られた時代から今日に至る社会的な認識の変遷,治療学の発展などを背景に実施され,大きな波及効果をもたらしたことが分かります。医療観察法の実現,操作的診断法のわが国への導入や発展についてもその背景や影響についてわかりやすく解説されています。さらに,サイコオンコロジー,認知機能障害の概念,産業保健におけるメンタルヘルス概念,認知行動療法などの新たに精神医学の中心に登場した主題についての解説がなされています。
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