Japanese
English
特集 社会認知研究の最近の動向
統合失調症における社会認知の認知矯正療法—心理社会的治療法
Treatment of Social Cognition in Schizophrenia: Psychosocial interventions
蟹江 絢子
1
,
中込 和幸
2
Ayako KANIE
1
,
Kazuyuki NAKAGOME
2
1国立精神・神経医療研究センター病院精神リハビリテーション部
2国立精神・神経医療研究センター病院精神診療部
1Department of Psychiatry Rehabilitation, National Center of Neurology and Psychiatry, Tokyo, Japan
2Department of Psychiatry, National Center of Neurology and Psychiatry
キーワード:
Social cognition
,
Social cognition and interaction training
,
Schizophrenia
,
Psychosocial treatment program
,
Recovery
Keyword:
Social cognition
,
Social cognition and interaction training
,
Schizophrenia
,
Psychosocial treatment program
,
Recovery
pp.45-53
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205097
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はじめに
統合失調症の治療のゴールは,精神症状の改善のみなならず,生活能力・社会機能のリカバリーとされている。つまりゴールを達成するためには,その人らしく本人が希望のある満足した自立生活を営んでいくことや,就労することや,より良い人間関係を築くのに十分な社会機能のリカバリーが求められる。社会機能の改善に寄与するものとして,記憶・注意・実行機能といった神経認知が話題に上がっているが,社会認知は,神経認知と社会機能を向上させる介在因子として注目されている。8)
社会認知とは「他者の意図や性質を理解する人間としての能力を含む対人関係の基盤となる精神活動」1)と定義されている。
社会機能的転帰に影響を与える社会認知を改善させることはできないかと,近年ではさまざまな研究が行われており,心理社会的治療法や新たな薬物療法が開発され,効果が実証されてきている。
本稿では統合失調症の社会認知障害についての最新の研究とさまざまな心理社会的治療法の概要について述べた上で,現在当施設で実施しているプログラムについてリカバリーの観点を加えて紹介する。
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