Japanese
English
研究と報告
空笑について
On the Empty Laughter
小倉 日出麿
1
Hidemaro Ogura
1
1精神科尾辻病院
1Otuzi Psychiatric Hospital
pp.149-155
発行日 1971年2月15日
Published Date 1971/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201710
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I.はじめに
笑いは喜悦,ユーモア,快感情の表情であって,生活や体験の内容を肯定し,温かさと積極性とをもっている。しかし笑いには歪んだ笑いもある。嘲笑,冷笑,含み笑いなどには相手や対象の価値を否定する態度が示される。温かい笑いは人を包み,人から人へと伝播するが,冷たい笑いは人を否定する。笑うこと程残酷なことはないような笑いもある。冷笑に対して,われわれはその冷情さに対し反感をも覚える。
ところで精神病者の空笑はどうであろうか。われわれはこの空ろな笑いに対して反感をすら感ずることはできない。いかにも狂気というにふさわしく,空笑に接するとき,病者はわれわれとはまったく異質の境地にあることを思い知らされる。
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