Japanese
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研究と報告
大学生における双極性気分変調に関する報告―自記式簡易スクリーニングを用いた検討
Bipolar Mood Liability of Students at a Japanese University: Using a brief self-rating screening
上原 徹
1
,
石毛 陽子
2
Toru UEHARA
1
,
Yoko ISHIGE
2
1群馬大学健康支援総合センター
2群馬大学大学院医学系研究科神経精神医学
1General Health Support Center, Gunma University, Maebashi, Japan
2Department of Neuropsychiatry, Gunma University Graduate School of Medicine
キーワード:
Hypomanic
,
Depression
,
Mixed state
,
Rapid cycling
,
Screening
Keyword:
Hypomanic
,
Depression
,
Mixed state
,
Rapid cycling
,
Screening
pp.647-654
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101915
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抄録
若年者の双極性気分変調は,多様な心理行動上の問題と関連する。本研究では,健康診断の一環として行っている自記式調査に,双極性気分変動をスクリーニングする2つの質問(高揚気分と易刺激性)を加え,抑うつや精神病的症候,食行動異常などとの関連について解析を行った。対象は春の健診を受検した5,425名の大学生で,うち有効回答者は在校生4,138名,新入生1,263名だった。記入時の2週間前後に双極性障害の症状項目をしばしば満たす割合は,在校生で高揚気分54名(1.3%),易刺激性70名(1.7%),両者10名(0.2%),新入生では高揚気分13名(1.0%),易刺激性32名(2.5%),両者6名(0.5%)だった。重回帰分析の結果,両質問項目得点は,感情易変性やイライラ感,自殺念慮,興味・関心の減退,食欲睡眠の変化などの抑うつ症状と強く関連し,幻聴や関係念慮,食や体型のこだわり,生活障害度とも有意な相関を示した。双極性気分変調の時点兆候は一般大学生の0.3~0.5%に認められ,こうした事例では,混合状態や躁うつ急速交代などの情動易変性,精神病的症候,食行動異常の併存にも注意して対応する必要がある。
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