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編集後記
平澤 大
1
1仙台厚生病院消化器センター消化器内科
pp.1553
発行日 2020年11月25日
Published Date 2020/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202198
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紹介状を持った患者さんが外来を訪れた.娘さんに介助され足取りはおぼつかない.耳も遠いから受け答えもままならない.患者は80歳代,男性.一見“手術は難しそうだな”という印象を受ける.胃癌はSM癌の可能性あり.“ESDは可能だけども通常は手術かな,でも耐えられるだろうか?”という疑問を抱く.術前検査では意外にも心機能や呼吸機能は良好で,“手術に耐えられそうだ!”と一安心.ご家族に手術をお勧めすると,怪訝な表情をされている.“うちのお爺ちゃん,手術なんか耐えられるの?”と思っているのだろう.お爺ちゃんは“この年になって切腹は勘弁してくれ!”と言っている.
このような状況に時々遭遇する読者もいるのではないだろうか.選択肢は,①経過観察,②cN0なのでESD,③説得して外科的切除.患者さんとご家族と,とことん話し合っていずれかを選択するのだが,どれを選んでも正しい答えはわからない.
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