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編集後記
竹内 学
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1長岡赤十字病院消化器内科
pp.1325
発行日 2020年9月25日
Published Date 2020/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202146
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“食道SM扁平上皮癌に対する治療”は本誌において2013年に取り上げられ,病理学的悪性度評価,内視鏡的切除・外科的切除,さらに化学放射線治療(chemoradiotherapy ; CRT)による治療成績が検討された.病理学的所見によるリスク因子の的確な抽出,より低侵襲かつ根治性の高い治療法の確立が検討されたが,現在の食道癌診療ガイドラインでは食道SM癌に対する標準的治療は,外科手術やCRTが強く推奨されているのが現状である.しかし,この7年間に外科手術では鏡視下手術が進歩し,CRTでは放射線機器や照射法が改良され,さらにJCOG0508試験によるEMR/ESD+CRTの結果も報告され,食道SM癌治療の新たな展開への幕開けの可能性が感じられる.そこで,本号ではこれらの変遷を踏まえ,各見地から食道SM癌に対する最前線治療を中心に構成した.
まずは,食道SM癌の術前診断について松浦らは,内視鏡的切除を適応すべきSM1以浅と外科手術やCRTを適応すべきSM2以深の鑑別が重要であり,cSM2の通常観察およびNBI拡大観察による高確信度群では非常に高い正診率であるが,低確信度群ではEUSも含め他のmodalityを用い総合的に判断することが重要であると述べている.また,B3血管においては病変中心部に存在する場合はSM2と診断してよいが,病変周囲に存在する場合はSM1以浅の可能性を考慮するとし,今後は現在の日本食道学会拡大内視鏡分類の再考や各modality併用による深達度診断への相加・相乗効果を前向きに検討する必要があると思われる.
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