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編集後記
竹内 学
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1長岡赤十字病院 消化器内科
pp.299
発行日 2019年2月25日
Published Date 2019/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201596
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胃の拡大内視鏡診断学は,正常胃粘膜におけるRAC(regular arrangement of collecting venules)の発見に始まり,H. pylori感染胃炎やこれを背景とする胃癌の拡大観察へと発展し,NBIに代表される画像強調システムの開発により粘膜微細構造や微小血管像が極めて明瞭に認識できるようになり,共通の視点から議論できるようになった.
しかし,拡大内視鏡所見の捉え方や用語の違いなどにより同じ画像でもその表現方法や診断へのアプローチが異なることが課題であった.そこで2016年に日本消化管学会,日本消化器内視鏡学会,日本胃癌学会の3学会承認の下,早期胃癌診断の単純化アルゴリズム(magnifying endoscopy simple diagnostic algorithm for early gastric cancer ; MESDA-G)が提唱された.さらに,除菌後や未感染胃に発生する胃癌に対し,これまでの拡大内視鏡所見を適応できるのかなど課題も浮き彫りになってきた.また,十二指腸上皮性腫瘍における腺腫と癌の病理学的鑑別は混沌としており,拡大内視鏡診断がこの領域にも重要な役割を果たす可能性がある.本号では,これらに関して学べる内容とした.
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