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編集後記
石川 誠
pp.1342
発行日 1971年9月25日
Published Date 1971/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111596
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腸管運動の生理学的研究では,正に第一人者であられる福原教授後継者の中山教授に排便のメカニズムについて御研究の結果を御教示戴けたことは感謝に堪えない.しかし,動物での粘膜内反射の機序は解明されても,さらに人間においての排便に関与する直腸の収縮の発来,この時の内括約筋の弛緩の機序や仙髄,さらに上位レベルの排便中枢の調節機序,大脳辺縁系の排便への関与などの詳細については,未だ不明の点が多いとのことであり,今後さらに,臨床と基礎との緊密な研究上の連携の必要性を痛感するものである.それにつけても,丁度15年前,ミシガン大の消化器病学科のH. M. Pollard教授のもとに学んでいた時,週1度の消化器病学ゼミナールに,Ph. D.ではあるが,M. D.ではない生理学のH. W. Davenport教授が参加され,臨床家のG. I.マン達と一緒に真剣に討議されていたのを昨日のように思い出す.誠に羨しい限りであった.
なお,実際に多くの御経験のある吉川,渡辺博士らがそれぞれ,大腸レ線検査,内視鏡検査の手技の詳細について御解説下さったことは,実際に有用であると読者も喜こばれることであろう.また,何方も書き難いと思われる便秘についてお書き下さった名尾教授らをはじめ,今後の問題点を含んだ結腸症候群についての研究をお寄せ下さった相馬博士らさらに,シカゴ大消化器病学科での早期胃癌についての興味ある論文を御紹介下さった小林博士にそれぞれ厚く御礼申し上げ度い.
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