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編集後記
石川 誠
pp.1686
発行日 1972年12月25日
Published Date 1972/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109011
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本年4月,日本消化器病学会で,シンポジウムに腸の非特異性潰瘍がとり上げられた.よって,本号では主として,その内容を中心に編集された.すでに潰瘍性大腸炎については本誌4巻12号で論じられたので,今回は主題にはクローン病を中心にとり上げることになった.かつて,わが国では潰瘍性大腸炎としてはきわめて重症なもののみを考えていた時代があったが,直腸鏡,生検などの普及によって炎症像の把握が容易となり,最近では定型的なものの他に,比較的軽症の直腸炎型などの症例も増加しつつある.クローン病は潰瘍性大腸炎よりもさらに少ないが,主題ではこの方面の権威者のDr. Morsonの考え方を紹介した.
すなわち,Crohnらの原著に比べて,英学派では,はるかに広くその概念を広げて考えていることがわかる.胃疾患の診断では,世界をはるかにリードしているとのパリーでの国際消化器学会からの報告は,まことにたのもしく御同慶に堪えない.これからは,わが国でも腸疾患の研究が盛んとなるべき趨勢にある.
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