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編集後記
古賀 成昌
pp.822
発行日 1982年7月25日
Published Date 1982/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108932
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消化管ホルモンをはじめとする消化管生理における新しい知見と共に,胃・十二指腸潰瘍の病態生理の研究にも著しい進歩がみられている.元来,胃と十二指腸は解剖学的にも生理学的にも異なった臓器である以上,潰瘍という同じ病変であっても,両疾患の背景には当然異なった病態があるであろうし,潰瘍という同じ病変であるからには,また共通の病態もあるであろう.更には同一臓器の潰瘍でも各患者の病態は必ずしも同一ではないであろう.したがって,胃・十二指腸潰瘍の病態生理は複雑で,その解明にはなおほど遠いものがあるというのが実状である.
本特集では,疫学をはじめ消化管ホルモン,粘膜血行動態,神経性因子など各方面からの研究成果が述べられており,読者にそれぞれの方面の新しい知見を与えてくれるものと思われるが,同時にそれぞれの研究が広汎複雑な胃・十二指腸潰瘍の病態生理の中で,いかに位置づけられ,いかに関連しているかを念頭に置いて読んでいただければ本特集の意義は更に大きくなるものと考える.
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