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書評「治療総論」
細田 四郎
1
1滋賀医科大学
pp.1472
発行日 1979年11月25日
Published Date 1979/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107817
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NIM(New Ietegrated Medical) Lecturesシリーズは私の愛用する医学書である.従来の医学書にしばしばみられたような,飜訳医学でなく,またどの本を見ても同じような内容であるというようなものではなく,編者の企画のもと,各著者が実際に臨床の場で考え,おこなっていることを書物とされたオリジナルなものである.私自身の講義においては「臨床診断学,診察編」,「消化器病学」および「血液病学」を学生に推奨している.このNIMシリーズに,このたび「治療総論」が加わった.
まず第1に,本書の「まえがき」にもあるように,従来の卒前教育は診断学に重点がおかれ,病態生理や鑑別診断までであって,治療についてはいずれ卒後研修中に学べばよいというがごとくに扱われていた.治療学といえば,man to man式徒弟教育の中で,技術・秘伝が承け継がれてきた.本来,「自然治癒力を助長し,円滑に進行させる」治療学の原理に基づいて,「治療学の体系化」を行うことは必要なことであった.ところが,現実には「治療総論」はこれまではほとんどとり上げられなかったので,本書は「これまでは全くみられない,はじめての試み」となったのである.
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