今月の主題 消化性潰瘍とその周辺
Editorial
消化性潰瘍1988年
木村 健
1
1自治医科大学・消化器内科
pp.388-389
発行日 1988年3月10日
Published Date 1988/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221557
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Cruveilhier(1829年)が胃潰瘍を,ulcus veutriculi chronicum simplex s. rotundumと記載したごとく,消化性潰瘍は再発を繰り返しながら慢性に経過するものであり,文字通り慢性潰瘍である.一方,これと概念的に対峙するものに急性潰瘍(AGML)がある.これは,原因が明確であり,その誘因の除去と共に速やかに治癒に向かい,そこには再発は認められないことが本質的な特性とされている.
近年,種々の近代的手法により胃粘膜の損傷と治療の機序の究明は著しい展開をみせている.就中,胃粘膜防御機構の解明には瞠目するものがある.しかし,これらはすべて急性潰瘍におけるものであって,これをヒトにおける慢性潰瘍,すなわち消化性潰瘍に直ちに敷衍するにはいささか無理があると思えてならないのである.
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