今月の主題 腎疾患—最近の展開とトピックス
EDITORIAL
腎疾患—最近の展開とトピックス
黒川 清
1
1東京大学医学部・第4内科
pp.1730-1731
発行日 1985年10月10日
Published Date 1985/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219949
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本号では腎疾患をめぐる最近の進歩,話題などを中心に特集を組んでみた.いわゆる「腎臓病学」は,腎実質に病理学的所見を伴う疾患群,たとえば糸球体腎炎,間質性腎炎,糖尿病などと,いわゆる「水・電解質,酸・塩基平衡の異常」というテーマも含まれることが多い.とくに欧米でその傾向がより顕著のように思われる.たとえば,代表的な腎臓の教科書,専門書としてBrenner and Rectorの"The Kidney"(Saunders),Straus and Weltの"Diseases of the Kidney"(Little,Brown),最近出版されたSeldin and Giebischの"The Kidney;Physiology and Pathophysiology"(Raven Press)など,どれをとってもいわゆる腎臓病のみでなく,水・電解質代謝が大きなスペースを占めている.
本邦では腎臓の病気は,腎臓病学として,水・電解質代謝の調節,病態生理とはまったく別に扱う傾向があるようである.これは欧米,とくに米国と本邦でのNephrologyの臨床,研究などの歴史的な違い,また教育,研究,研修カリキュラムなどの違いによるものかもしれない.
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