病理夜話
腎臓(2)
金子 仁
1,2
1日本医大
2日本医大・老研基礎部
pp.2207
発行日 1972年11月10日
Published Date 1972/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204508
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癌腫の組織像は一般に腺癌,扁平上皮癌,未分化癌に分ける.しかし悪性絨毛上皮腫,肝癌,腎癌の3つをやや分化した癌として特別の群の中に入れるのが普通である.これは組織像が一定の臓器に似ているからである.肝癌は肝の組織に,腎癌は腎の組織に,悪性絨毛上皮腫は絨毛の組織に似ているのである.したがってどこに転移をしても,その転移の組織像を鏡検して,これはどこの癌の転移であると診断することができる.
また,この3つの特別な癌は血行性転移の多いことでも有名である.腎癌は組織学的に淡明細胞(clearcellとも呼び,細胞形質がきわめて明るい)が出現するのが特徴である.血行性転移が多いために,しばしば骨に転移して,腰が痛いとか,腕が痛いとかで整形外科を訪れる患者も稀でない.
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