診断のポイント
いわゆる脳動脈硬化症
大友 英一
1
1浴風会病院
pp.1573-1575
発行日 1967年11月10日
Published Date 1967/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201978
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脳動脈硬化症とは
いわゆる「脳動脈硬化症」という診断名は米国ではまず使用されることはない。筆者もこの診断は安易にくだすべきではないと考えている。しかしいわゆる「脳動脈硬化症」と診断せざるをえない症例の存在することは事実である。
脳動脈硬化の脳におよぼす要因としては血管腔の狭小化による脳血行障害,それに伴う脳の小軟化が主要なものであり,硬化動脈による脳神経の圧迫などはまず問題とならない。脳の実質障害を伴わず動脈硬化に基因する循環障害のみで,いわゆる脳動脈硬化症の症状がどの程度出現しうるものであるかは問題である。著明な脳動脈硬化を有するにもかかわらず無症状の例があり,またこの逆の例も存在する。したがつていわゆる"脳動脈硬化症"の症状発現には脳動脈硬化のほかに不明の他の要因の存在することが推定される。
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