今月の主題 ワンランク上の内科エマージェンシー―もうだまされない! 非典型例から最新知識まで
扉
林 寛之
1
1福井県立病院救命救急センター
pp.747
発行日 2010年5月10日
Published Date 2010/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104427
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救急対応は誰でもできるはずと世間の人は思っているようだが,致死的救急疾患なんてそうそう毎日診るようなものじゃない.それも専門外になってしまうと,いかに疑いをもつかにかかってくる.稀な救急疾患や非典型的救急疾患はてぐすねを引いてわれわれを落とし穴にはめようと待ち構えている.重症なら救急車で来院して欲しいと願うのはわれわれ医療者の都合であり,独歩来院で実は重症だったという救急患者は0.2~0.7%あるというから,時間外患者を1,000人も診れば必ずとんでもない重症救急患者に数人ほど出くわすということだ.
「常に最高の名医が診ないとダメだ」「絶対救急は受け入れろ.でも死んだら医療ミス」などと夜中に無理難題を言う昨今の判決や患者は現実をわかっていない.医療がこんなに広範囲になった今,スーパードクターなど漫画やマスメディアの中にしか存在しない.テレビのERの心肺蘇生率は約6割もあるのに,院外心肺停止の蘇生率など1割にも満たないのが現実の世界だ.心が折れた医者はさっさと救急なんて手を引きたくなってしまう.軽症救急患者を断っても時間外救急の混雑には影響を与えないと多くの論文が証明しているのに,軽症救急患者を憎むのはむしろバーンアウトの徴候だ.
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